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最高裁判所第三小法廷 昭和59年(オ)199号 判決 1989年9月19日

主文

一  原判決添付物件目録1及び12記載の各土地につき、被上告人らが共有持分各七分の一を有することを確認する。

二  原判決中前項の各土地が亡花城可信の遺産であることを確認した部分を除く上告人敗訴部分に対する本件上告を棄却する。

三  上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人新垣勉の上告理由第一について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係のもとにおいて、被上告人花城可昭が原判決添付物件目録13記載の土地の所有権を時効取得したものとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。

同第二の1ないし3について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審において主張しない事実に基づき原判決の不当をいうものにすぎず、採用することができない。

同第二の4について

記録によって認められる本件訴訟の経緯に照らすと、原審が所論釈明権の行使をしなかったことに違法はない。論旨は、採用することができない。

次に、職権によって判断する。

原審の適法に確定したところによれば、原判決添付物件目録1及び12記載の各土地は亡花城可信が所有するものであったが、亡花城可信は昭和四三年五月三一日に死亡し、その長男亡花城可豊の代襲相続人である上告人、長女である被上告人花城カミ、二女である被上告人外間慶子、三女である花城ウト、四女である被上告人花城喜美子、二男である花城可仁、五女である花城マサ子、四男である被上告人花城可昭及び六女である被上告人伊禮ツル子の九名が共同相続し、花城マサ子は昭和五三年三月二〇日に、花城ウトは昭和五四年一月五日に、いずれも相続人なくして死亡したため、結局、上告人、被上告人ら及び花城可仁の七名がこれを共同相続した、というのである。

そうすると、原判決添付物件目録1及び12記載の各土地につき被上告人らが共有持分各七分の一を有することの確認を求める請求は理由があり、認容されるべきである。なお、右各土地が亡花城可信の遺産に属することの確認を求める遺産確認の訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきところ(最高裁昭和六〇年(オ)第七二七号平成元年三月二八日第三小法廷判決・民集四三巻三号一六七頁参照)、亡花城可信の相続人の一人である花城可仁を当事者としないで提起されたものであるから、右訴えは不適法というべきであるが、これと選択的併合の関係にある右共有持分確認請求が認容されることによって、原判決及び第一審判決中右各土地につき被上告人らの遺産確認請求を認容した部分は、当然に失効する。

よって、民訴法三九六条、三八四条一項、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 坂上壽夫 裁判官 伊藤正己 裁判官 安岡滿彦 裁判官 貞家克己)

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